理事長挨拶
理事長矢島弘嗣  この度、第12代目の理事長に選出されました琉球大学の金谷文則と申します。会員の皆様のご助力を得て日本マイクロサージャリー学会の一層の発展のため全力を尽くしたいと存じますので、よろしくご指導・ご協力の程、お願い申し上げます。

 マイクロサージャリーは手術用ルーペや手術用顕微鏡を用いて微細な手術を行う技術であり、世界初の切断指再接着や遊離皮弁移植術は日本で行われました。本学会に先立つマイクロサージャリー研究会は整形外科医と形成外科医を中心に設立されました。1974年に第1回研究会が開催され、1987年の第14回より日本マイクロサージャリー学会に改名され、2015年には第42回の本学会が開催されました。当初は切断肢(指)再接着や、遊離複合組織移植がトピックスでしたが、その後の基礎研究の充実により様々な皮弁が開発され、さらに微小血管吻合の進歩によりいわゆる穿通枝皮弁の遊離移植を安全に行うことができるようになりました。今でもより安全かつ採皮弁部の障害の少ない皮弁が開発されています。近年では四肢同種移植、人工神経,穿通枝皮弁やリンパ浮腫の治療などがトピックスとして報告されております。また遊離組織移植を用いた頭頸部再建は症例数が急増している分野です。

 世界のマイクロサージャリーはアジア、アメリカ、EUに3極化されています。なかでもアジアの発展は著しく、日本マイクロサージャリー学会は先達の多大な業績によりその中心的な役割をはたしております。こうして発展してきたマイクロサージャリーの技術は形成外科・整形外科に加えてほとんど全ての領域の手術に応用され、これまで不可能と思われてきた手術を可能にし、その有用性は年々増加の一途をたどっています。
本学会の大きな特徴に、毎年の学術集会の際に併設される技術講習会と”International traveling fellow”があります。次世代のマイクロサージャンに早期に技術を習得して、広く海外に視野を広げて貰いたいと考えております。

 マイクロサージャリーの国際的学会としては、1970年にInternational Microsurgical Society(IMS), 1972年にInternational Society for Reconstructive Microsurgery(ISRM)が設立され、1988年に第8回ISRM (波利井会長)がMt.Fujiで、1994年には第12回IMS(玉井会長)が奈良で開催されました。2001年にIMSとISRMが統合されWorld Society for Reconstructive Microsurgery (WSRM)となり、2009年には第5回WSRM(土井・光嶋会長)が沖縄で開催されました。2012年には第1回Asia Pacific Federation of Societies for Reconstructive Microsurgery (APFSRM)がSingaporeで開催されました。2年に一度の開催で、韓国(2014)のあとに中国(2016)開催が決まっており、そろそろ日本開催も視野に入れたいと思っております。日本のハイレベルなマイクロサージャリーを今後広く世界に発信するためにも若い世代に海外での発表・活躍を期待しており、本学会としてもバックアップして行きたいと考えています。
2015年12月28日